11. 「結婚は一時の気まぐれ」
11.
「結婚は一時の気まぐれ」
(41巻151ページ)
a poor
humour of mine, sir, to take that that no man else
will:
「もらい手のない娘の手をとるなんてね、
あんた、おれのしようのない気まぐれだよ」
(『お気に召すまま』5幕4場163ページ)
in Karakuri
自らの死期を悟り、最後の決戦へと臨むギイ。ふと脳裏に浮かんだのはどこかの村で挙げられる結婚式の様子だった。「結婚は一時の気まぐれ」と片付け、「僕には無縁なもの」と無関心だったが、最後の最後になってふと思い出す光景。自分の果たすべき役割を感じながら、ギイの最後の独り舞台が始まった。
in Shakespeare
6、7に引き続き、『お気に召すまま』からの引用だと思われる。森で出会った田舎の娘オードリーと恋に落ちたタッチストーンは彼女と結婚をする。結婚の後、新妻をちゃかすようにして公爵に話したのが上のセリフだ。
結婚に関してシェイクスピアがあまりイメージを持っていなかったのではないかという説は強い。彼自身若い時に年上の妻をもつことになり、しかもその夫婦仲は良好とは言い難かったようだ。彼の遺書の中で妻への遺産として「2番目にいいベッド」しか遺さなかったことから、夫婦仲が冷え込んでいる証拠とすることもある。
結婚に関する否定的なセリフで有名なのは、この『お気に召すまま』から「男は恋をささやくときは四月だけど結婚すれば十二月」や『終わりよければすべてよし』から「若くて結婚、人生の欠損」などが挙げられる。とはいえ、喜劇のほとんどが結婚の幸せなシーンで終わるのだから、否定的なイメージばかりであったとも言い切れないが。